夏の終わりに差し掛かった夜、地方都市の小さな社員旅行先で、俺は大浴場の湯気に包まれていた。会社から少し離れた山あいの温泉旅館は、企画部の社員旅行で貸し切りに近い状態だった。午後の宴会で酒をかなり飲んだせいで、夜十時過ぎに大浴場へ足を運んだ。時刻は夜の11時近く、浴場はすでに静かで、閉館も近いようだった。旅館の貸切風呂とは違い、大浴場は広く、岩組みの湯船が二つ、霧が濃く立ち込めていた。
俺はタオルを腰に巻き、脱衣所を出て浴場に入った。足元は少し熱い石畳で、湯気が視界をぼやけさせる。浴槽の湯は38度を超える熱さで、夏の夜でも体が芯から温まる。酒の酔いが残り、頭が少し重い。熱くなった体を冷ましたくて、かけ湯をしてから湯船に沈もうとした瞬間、向かいの岩棚で誰かの人影が動いた。
「コウジ…?」
低い、でも聞き覚えのある声だった。アヤノだ。企画部長で、普段は部下に対して厳しく、資料のミスひとつで容赦なく叱責する上司。長い黒髪をアップにまとめ、和風の浴衣を脱いでタオル一枚を体に当てている。夜の照明が薄暗いせいか、いつもより色っぽく見えた。40歳目前の彼女は、豊満な胸元がタオルから溢れそうなほどだった。巨乳という言葉が頭をよぎる。俺は慌てて頭を下げた。
「アヤノさん…こんな時間に、すみません」
「あら、酒のせいで眠れなかったの?私も同じよ」
彼女の声には少し酔いが混じっていた。浴槽の縁に寄りかかり、湯に足を浸している。視線が俺の体を一瞬、すくい上げるように動いた。俺は湯船の反対側に沈み、熱いお湯に体を沈めた。熱さで息が詰まる。夏の夜の湯気は甘く、微かに硫黄の匂いがする。
最初は無言だった。湯船の間には距離があったが、彼女がゆっくりとこちら側に近づいてきた。波が立って、湯の熱が肌を刺激する。たまたまの遭遇のはずが、彼女の目が少し熱を帯びているように見えた。企画部の日常では、彼女は常にスーツ姿で、胸のラインを強調するような服装はほとんどなかった。でも今は、タオルがずれるたびに、白く柔らかな肌と、大きく丸い胸の谷間が目に入る。
「コウジ、最近のプレゼン、よく頑張ってたわね。意外と根性あるのね」
「ありがとうございます…アヤノさんのおかげです」
会話は最初、仕事の話から始まった。彼女は湯に浸かりながら、珍しく笑みを浮かべた。酒の影響か、声が少し甘く響く。湯船の中で、彼女の足が偶然、俺の足に触れた。熱い感触が走る。すぐ離したが、その後の沈黙が少し長くなった。
「ここ、なかなか気持ちいいわ。社員旅行でこんな大浴場、珍しいでしょ」
アヤノは体を起こし、胸元を軽く押さえた。タオルが濡れて肌に張り付き、胸の形がはっきり浮かび上がる。巨乳の輪郭が、湯気の向こうで揺れているのが視界に入った。俺は目を逸らそうとしたが、酒のせいで視線が泳ぐ。彼女はそれを気づいたのか、少し体を寄せてきた。
距離が縮まるにつれ、湯の熱さと酒の酔いで、普段の距離感が崩れていく。彼女の肩が俺の腕に触れた。柔らかくて、熱い。匂いは体温と石鹸の香りが混じって、甘く鼻をくすぐる。彼女の息遣いが近くに聞こえる。心臓の音が大きくなる。
「コウジ、ちょっと熱くない?もっと深く沈んで」
彼女はそう言いながら、俺の肩に手を置いた。指の感触が熱い。避けるべきだと頭ではわかっていた。部下と上司の関係。禁断のライン。でも、彼女の目がじっと俺を見据えている。熟れた大人の色気が、夏の夜の湯の中でじわじわと迫ってくる。胸の谷間が波に揺れ、俺の視線を吸い寄せる。
俺は少しずつ、彼女の体温と湯の熱さに飲まれていった。触れ合いが続くうちに、彼女の指が俺の胸をなぞる。甘い香水の残り香が湯気に混じる。聴こえるのは、湯の音と彼女の息。味覚のように、喉が渇いた感覚が広がる。こうして、夜はゆっくりと、官能の方向へ傾いていった。

























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