雪国の山深い谷間に、古びた杉の板塀が続く老舗温泉旅館は、冬の夜になると周囲の音がすべて吸い込まれるように静かになる。外気温はマイナス五度近くまで下がり、窓ガラスには細かい霜の花が幾重にも張り付いていた。
リョウは営業部の出張でこの地を訪れていた。午後遅くに到着した二人は、まずは市街の取引先との打ち合わせを終え、夜になってようやく旅館へ戻ってきた。
予定ではふたりとも個室で休むはずだったが、フロントで確認したところ、貸切内風呂の予約が偶然空いていた。トモコが「せっかくだから使おうか」と一言言い、部下であるリョウを連れてそのまま足を進めた。
リョウはスーツの上に旅館の綿入れを羽織り、素足に草履を履いていた。トモコは同じく旅館支給の白い浴衣を着ており、帯の結び方が少し緩いのか、肩のあたりが少しずれているように見えた。
普段オフィスでは常に黒いパンツスーツに身を包み、声のトーンも高圧的だった彼女が、今夜はほんの少しだけ肩の力を抜いている気がした。冷たい廊下を歩きながら、二人はほとんど会話を交わさなかった。
ただ、足音と、湯気の中に混じる木の香りが静かに耳に入るだけだった。 貸切内風呂の扉をトモコが押し開けた瞬間、湯気の壁が一気に体を包んだ。
内風呂は四畳ほどの広さで、岩を積み上げた浴槽が中央にあり、湯は源泉かけ流しで白く濁っていた。窓の外には真っ暗な山肌が見えるだけで、灯りは壁に埋め込まれた小さな明かりのみ。
湯船に浸かるとすぐに、体が芯から温まっていくのがわかった。トモコが先に湯に沈み、大きく息を吐いた。
「リョウくん、こっち寄って。寒いから、もっと酒を持ってくる。
」 トモコは脱衣所に置いてあった徳利と猪口を指で示した。リョウが二つの猪口を湯辺に並べると、彼女は腰を浮かせて自分の猪口に酒を注ぎ、リョウの分も注いだ。
アルコールがほのかに湯気に混じり、鼻腔をくすぐる。トモコの浴衣の襟元が、湯の中で少しずつ開いていく。
白い肌と、豊かな胸の谷間が、湯の揺れに合わせてわずかに露わになっていた。 「今日は……ありがとう。
取引先、うまくまとまったね」 トモコの声は、いつも会議室で聞く時とは少し違っていた。少しずつ酔いが回るにつれて、語尾が柔らかくなる。
「いえ、トモコ部長のおかげです。自分はただ資料を……」 「部長、部長って、いつもそう言って距離を取るよね。
今日はここ、出張だし、二人きりなんだから、もう少し普通に話さない。」 トモコが猪口を傾けながら、こちらに体を傾けた。
湯の中で膝が、偶然なのか意図的なのか、軽く触れた。リョウは思わず息を呑み、視線を湯面に落とす。
彼女の肌は湯に濡れて艶やかで、豊満な胸の重みが、重力に負けてわずかに揺れていた。その視線に気づいたトモコが、くすりと笑う。
「見てた。」 「……すみません」 「いいのよ。
遠慮しなくていい。……実は、私も今日は、少し大胆になろうと思ってたんだ」 会話が止まり、湯の音だけが響く。
リョウの心臓が早鐘のように鳴り始めた。トモコの指が、自分の膝の上を這うように動く。
指先の感触は熱く、滑らかで、長い沈黙の中で彼女の息遣いが少しずつ荒くなっていくのが聞こえた。 「リョウくん、緊張してる。
」 「はい……少し」 「私も。……でも、断られないと思うから、こうしてる」 トモコが体をさらに寄せ、浴室の狭い空間の中で、彼女の豊満な胸がリョウの腕に押しつけられた。
柔らかく、熱い肉感が、湯の中で直接伝わってくる。肌と肌が触れ合う感触が、急に現実味を帯びた。
彼女の息が首筋にかかり、アルコールの匂いが混じった吐息が耳をくすぐる。 「ここなら、誰にも見られない。
……いい。」 リョウは答えられず、ただ頷いた。
トモコの唇が、ゆっくりと近づいてくる。最初は額に、続いて頰に、そして唇に。
熱い舌が絡み合う。湯の中でお互いの体が密着し、彼女の大きな胸がリョウの胸板に潰れるように当たる。
指がリョウの背中を這い、腰に回る。 トモコの手がリョウの下半身に伸び、すでに硬くなったものを優しく握った。
湯の中で動きは滑らかで、指先の圧力が的確だった。彼女はもう片方の手で自分の浴衣の帯をほどき、湯の中で全裸になると、リョウの体を湯船の縁に押しつけるように導いた。
湯面から飛び出した胸が、目の前に揺れる。豊満で白く、乳首が硬く尖っていた。
トモコはリョウの太ももを跨ぐように膝をつき、顔を近づける。 「……我慢してたの。
長い間」 彼女はそう呟き、舌を伸ばして先端を舐めた。熱い舌の感触が、ずるりと這う。
リョウは思わず声を上げ、湯の温度とは別の熱が下半身に集中するのを感じた。トモコはさらに深く含み、頰を緩めながら上下に動き始めた。
音が湯の中で響く。ぬちゅっ、じゅぽっという湿った音。
彼女の豊満な胸が、リョウの太ももに押しつけられながら、揺れ続ける。乳房の重みと柔らかさが、太ももに直接伝わる。
舌が裏筋を丁寧に刺激し、喉の奥で軽く締め付ける感触が、リョウを一気に追い詰めていく。 トモコの動きは止まらず、時折目を上げてこちらの反応を確認しながら、さらに激しく吸う。
唾液と湯が混じり、喉を伝う。リョウは彼女の頭に手を置き、指を髪に絡めた。
トモコのうめき声が、狭い浴室に反響する。視界の隅で、窓に張り付く霜が、湯気のせいで少しずつ溶けていくのが見えた。
時間感覚がぼやけ、ただ熱く、湿った感覚だけが全身を支配する。 行為が続く中、トモコは時折息を整えながら、言葉を挟んだ。
「もっと……気持ちいい。」 「……すごく」 「私も……こんなに興奮するなんて思わなかった」 彼女は再び口に含み、舌を激しく動かす。
豊満な胸をさらに押しつけ、乳首がリョウの肌に当たる感触が、甘い刺激となって積み重なっていく。リョウは次第に理性の糸が切れるのを感じ、トモコの動きに合わせて腰を軽く浮かせた。
快楽の波が何度も訪れ、最後に一気に放出する。トモコは喉を鳴らしながらすべてを受け止め、ゆっくりと口を離した。
唇の端に白いものがわずかに残り、湯で流されていく。 二人はしばらく湯船の中で体を寄せ合ったまま、荒い息を整えた。
トモコの指がリョウの胸を優しく撫で、汗と湯で濡れた肌が、互いに滑らかに触れ合う。 「……これは、出張の間だけ、ね」 トモコが小さく微笑んだ。
リョウは頷き、返す言葉を探した。 「はい……明日からは、いつも通りで」 「そうね。
……でも、今夜は、もう少しだけここにいましょう」 外の風が窓を揺らし、再び湯気が立ち上る。浴室の中は、湯の熱と二人の体温で、冬の冷気を完全に遮断していた。
リョウはトモコの大きな胸に顔を寄せ、残りの時間をゆっくりと味わうことにした。翌朝の挨拶や、帰りの新幹線で会うであろう顔を、しばしの間だけ意識の外に置く。
貸切風呂に響く湯の音だけが、密やかに続いた































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